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唇の厚い人と薄い人のアンブシュア
金管楽器を吹いている人の多くはアンブシュアについて考えたことがあると思います。いろいろ調べてみるとたくさんの情報を見ることができるのではないでしょうか。一般的にはアパチュアが形成できるように「フー」と吹くような文章やイラストが多く掲載されているようです。
ここで私が問題だと考えるのは、それを掲載した人の唇は「厚いのか薄いのか」ということです。さらには歯の形や顎も重要でしょう。例えば出っ歯であるとか、下顎が出ているとか逆に極端に引っ込んでいるとか・・・。しかし今回は、あえて唇についてだけ考えてみることにします。
You tubeなどで善意有る多くの奏者が重要なアドバイスを無償で提供してくださっているということに感心します。その中でどれを選んだらよいのか迷うこともあるはずです。まずは自分と似ている骨格や唇を持った奏者の意見を参考にするのが良いのではと個人的には考えます。
例えば赤い部分がほとんど見えないくらい唇の薄い奏者は自然にマウスピースをセットして「フー」っという感じで吹かないと唇はどんどん内側に巻き込まれ最後にはアパチュアを塞いでしまうと考えます。逆にタラコ?のように(笑)唇の厚い人はそのままの状態でマウスピースをセットすると振動するための緊張が得られないばかりか赤い部分にリムが乗ることになり唇を傷つけてしまうはずです。
そこで、そう言うタイプの人は唇を思い切って巻き込むべきです。
いまから30年くらい前は「引くな」「巻き込むな」みたいなことがよく言われていました。それらの<都市伝説?>によって上達を著しく阻害された音大生も多かったような気がします。
世界の名プレーヤーを見てもそのままの状態では絶対に赤い部分にリムが乗ってしまう奏者でも唇はリムの内側に収まっています。そうなるには唇を巻き込む以外にあり得ないのです。
唇の薄い場合とは異なり、そうしてもアパチュアは閉じません。いくら巻き込んでもリムの中でかってに唇は開こうとするからです。このとき、すでに巻き込んでいて唇は窮屈な状態になっているので上下の唇は閉じているはずです。ですから、そこからさらに唇を閉じようとはせず上下の唇を離してやるような感覚が大切です。
この練習には「Lip Look」のようなリム・ビジュアライザーが役に立ちます。Charlie Porterなどのようにアメリカでは積極に利用して解説している奏者も多いのですが何故か日本では一般的でないことが不思議です。やはりリムに対する唇の状態を確認してみることは非常に合理的ですし重要だと考えます。
発音に必要不可欠な振動の根源を考えないで吹奏楽部などでよく見かける「腹筋運動」などは<無駄>と言っても過言ではないと思います。